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2010.02.07

白衣の天使(3)

奥さんから聞いたところによると左隣の老患者は、これまで様々な手術をしたそうで、今回は心臓の手術をされ、現在歩行のリハビリをしなければならない状態.
でも身体が追いついていないのか、リハビリをいやがって、やらない日が多い.
それでも看護師さんにうながされて、時々車椅子で上の階のリハビリ施設へと行く.
言葉はめったに発しない.
自分で起き上がることは出来ず、普段は、ほとんど横になって寝っぱなし.

 

そんな老患者なのだけれど、ある中年に近い看護師さんが

「○○(介護施設)に行くんだって? 奥さんが申し込んでいるらしいけど」

と言ったとたんに、老患者の雰囲気が一変したみたいで、看護師さんがあわてて

「ここは心臓の病院だからいつまでもいるわけにいかないでしょ」

と、取り繕った.

めったにしゃべらない老患者が重い口を開いた.

「○○? ○○に移されるのけ?」

 

その後のやりとりで、最初は全然知らないところに追いやられると思った老患者は、やがて自分が以前通っていた施設だと知る.

たとえ自分が通っていた施設だとわかっても、身内や親戚から何も聞かされていない重要なことを、看護師さんとは言え、あかの他人から聞かされたのだ!
きっと、ものすごくショックだったろうと想像する.
その老患者は…自分は邪魔にされているんだと思い込んでしまっている・・・と、おらは重たい空気を感じた.

 

その1時間後に同じ看護師さんが来て、

「あら、きょうはなんだか元気ないねぇ?」

と言った.

あんたのせいだろ!…とおらは心の中で叫んだ.
ちっとも自分のせいだとは気がついていない!

「せっかく若い奥さんをもらったんだから、元気にならないとぉ」

などと続けた.

 

さらにその1時間後に奥さんが来て、だんなさんを見るなり言った.

「きょうはなんだか元気ないわねぇ?」

 

その日老患者は、ずっと黙ったままだった.

 

奥さんが帰ったあとの夕食のとき、おらのお気に入りの天使がやって来た!
その老患者を見て、

天使「○○さんは食事食べられてますか?(食べ具合を見て)あぁ、もうちょっとですね!」

そしたら、それまで自分で食べていた手をとめて、

老患者「どっちを食べていいかわかんないょぉ」

と、だだっ子の様につぶやいた.

天使「はい」

彼女が老患者に食べさせてあげている.
2~3回口元に運んだ時、先輩の看護師さんが通りかかるなり強い口調で言った.

「あらららら! 自分で食べられるでしょッ!」

天使は先輩にそう言われて、食べさせてあげるのをやめてその場を去ってしまった.

 

どっちを食べていいかわからない…というのは、「食べさせて」という甘えだったのに違いないと思う.
老患者は、まるで・・・「姥捨て山に捨てられるんだ」みたいに感じていたんだと思う.
寂しくなって、たまらなく寂しい気持ちになって「どっちを食べていいかわかんないょぉ」と言ったんだ!

天使は、瞬間的に老患者の気持ちを察してスプーンを持ったんだと思う!
そういういきさつを知らないで、先輩はマニュアル的に「自分で食べられるでしょッ」と叱ってしまった.
その先輩は、きっとナース・センターでも、おらのお気に入りの看護師さんのことを叱ったに違いない.

 

なんだか悲しくなって、涙がこぼれてしまった.

 

その夜、天使が血圧を計りに来た時に、きょうの老患者のいきさつを話し、食べさせてあげたことを

「すごくいいことをしたんだょ!」

と天使に伝えてあげた.

 

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