あははの病室(5)
当ブログ 2010.01.26 の記事を転載
あははの病室(5)
看護師さんのこれまでにない程の絶叫(?)が3階フロアに響き渡った!
なんとこのおっさん!
病室の窓を開けて…こともあろうに、タバコを吸っていたのだ!
ついに院長センセがやって来た!
危なげな患者「おぉ、院長!」
どうやら知っている仲らしい.
院長センセ「反省してもらわなければいけないことをしたようですね! 今度やったら強制退院してもらいますよッ!」
前代未聞の出来事だと言う.
そらコーラぢゃなくて、そらそーだょねぇ.
循環器病院なので、みんな心臓がどーにかなって入院しているというのに、自分も暮れに身体が固まって動けなくなって病院に運ばれたというのにこのおっさん、タバコをぷかぷか...
この「危なげな患者」の奇行(?)は、まだまだ続いた.
窓から前の学校が見えるんだけど、窓際に立たないと見えない.
それをこの患者は、ベッドを最大限に高くして外を見る!
背も高いけど座高も高いから、その様子は威圧感(?)があり、見ていてなんかおかしぃ.
たしか最初に…ベッドの背と足の部分は高さを変えてもいいけれど、ベッド自体の高さは変えないように言われたはず.
それを、ベッド全体を最大限に上まであげて・・・まるで「お代官様」状態.
さらに、3階のフロアだけは自由に歩いていいと言われているのを聞いたのに、やれ1階に新聞を買いに行ったり、コーヒーを買って飲んでしまったり(食事以外の飲食は禁止…これで彼の血糖値は恐ろしく上がってしまった)、上の階にこっそりタバコを吸いに行ったり.
はみだしもいいとこだ.なんだか子供みたいに思えてしまった.
しかし、おら以外の患者への罵倒は続き、ついに2人の老患者は去って(病室を変えて)2人部屋になり、部屋は静かになった.
朝から夜まで、このおっさんの奇行には笑わされた.
おらの人生観そのほかを少しずつ話させてもらい、だんだんと「危なげな患者」から「ちょっとはおとなしい患者」へと変わっていった.
おらの治療はまだ始まっていない時に、彼は退院した.
やったぁ~!
4人部屋が大きな個室だぁ~!
と喜んだのもつかの間、出て行った2人の老患者が戻ってきて、3人部屋になってしまった.
尿瓶の患者のところには、相変わらず見舞客が多い.
でも、もう身振り手振りではなくて、普通に会話して、時には大声で笑ったり.
尿瓶の患者「いぇね、あれがこーしてそうなりましてね、そしたらこれがあーなってしまいましてね・・・」
見舞客「おほほほほ...」
「危なげな患者」はいなくなり、病室には見舞客とともに平和が訪れた.
やがて、おらも無事退院となった.
死にかけてから22日間という入院生活.
様々なことを見聞き、体験をした貴重な時間だった様な気がする.
これらもやがていい思い出となるんだろうなぁ...
しかぁ~っしっ!
思い出になるどころか...
「危なげな患者」は現れたのだ!
ピンポ~ン.
ガラッ(玄関が開く).
ズカズカズカ.
危なげな患者「いゃぁ、どーなったかと思ってょぉ」
そぉ、うちから十秒ちょっとのところにこのおっさんの店があるのだ!
(「あははの病室」おわり)
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